フィリアの自室で水を受け取ったエミリオは、顔を下に向けている2人に厳しい言葉を突き付ける。
「先ず、今回は運が良かったと思え。仮にそうじゃなかったら皆殺しにされていた……あんな奴を相手に、無謀過ぎる」
「で、でも……」
「言い訳は要らんぞカイル、自分の力を過信するな。……お前もだ、ロニ」
2人は彼の言葉を受け止める事しか出来ず、重く頷く。
そんな若者達に溜息を吐き、次にエミリオは質問をした。
「で、何故お前達が此処に居るんだ。いくら神団騎士でも位が低ければ礼拝以外は入れない筈だが」
「えっと……その、ですねェ……」
バツの悪そうにロニは答える。
「実は色々あって神団騎士辞める事になりまして……コイツと旅をしようって思ってまして……」
「……辞職についてはお前が決めたのなら何も言わんが……それでは神殿内に居る理由にはならん」
「んー……っと……」
何と説明したら良いか悩む青年の隣で、そんな努力を無に帰さんとばかりにカイルは言った。