敢えて追求はせずジョブスの肩を借りながら立ち上がり、次にカイルとロニを冷たく鋭い眼を向ける。
「フィリア、部屋を貸してくれ。カイル、ロニ、お前達も来い」
重い声色に頷く事しか出来ない2人。
3人を案内する前にフィリアは座り込んでいるリアラに声を掛けた。
「リアラさんも、いらっしゃいませんか?」
「えっ……い、いいのですか……?」
「はい、私を守ってくださったお礼もしたいですから」
「そんな……」
俯くリアラだが、ふと顔を上げた時カイルと眼が合う。すると彼は何故か笑顔になった。
「…………」
「リアラさん?」
「あ……い、行きます」
腰を上げるとフィリアは微笑み、皆を部屋に案内する為に僧兵達に声を掛けながら礼拝堂を後にする。
その時気になった事を、エミリオはフィリアに問う。
「フィリア、手当てをしてるあの若者は……」
「私は詳しくは……カイルさんは、ご存知なのでは?」
カイルを見ると、少年は大きく頷いた。直後、横でジョブスが口を開く。
「あれ、あの子どっかで見た事ある様な……」
「何?」
「何処だっけ……」
「…………」
見知らぬ青年である、筈。