「シャドウエッジ!!」
突然床から生じた黒刃が斧を持つ腕を貫いた。
「ブラッディクロス!!」
更にそこを十字に切り裂き、傷は小さいが漸く男を怯ませる。
「カイル! 受け取れ!!」
聞き覚えのある声に顔を上げると剣が飛んできた、無意識にカイルはそれを取り体勢を整えようとする男を見て剣を構える。
「食らえ!!」
踏み込み、突きを初めとし速さのある剣が敵にダメージを与えると共に風を作った。そしてその風の中で少年は、エミリオが付けた腹部の傷に狙いを定める。
「牙連、蒼破刃!!」
彼と同じ大きさの真空刃、その傷を更に抉る。今まで与えられた傷で1番大きな傷、男はそれに驚愕し、倒れる事は無いものの、その足を後ろに退かせた。
「……クッ……クク、フハハハハハ!!」
何がおかしいのか、男は傷を押さえ狂喜の笑みを見せる。そして、息を切らせているカイルを見た。
「カイル・デュナミス、と言ったな……」
突如男の身体の周りが歪み始め、それは黒く変色していく。