「来い! 未来の大英雄、カイル・デュナミスが相手だ!!」
男をフィリアとリアラから離す為にカイルは叫んだのだろう。ロニも同じ考えなのかやや低い体勢でハルバートを構えている。
そして、男は激情を宿した眼で少年を見た。
「英雄、だと……?」
眼と、まるで耳に直接送られたかの様な鈍く低い声にカイルとロニの身体が一瞬硬直する。
男は、不気味な弧を口に描く。
「ククッ……お前の様な子供がァ、英雄だと……? 笑わせてくれるなァ、小僧……」
「う……うるさい! これ以上誰も傷つけさせないからな!」
「ほう、なかなか口が達者だな」
感心、そして男は何故かカイルの目の前で斧を振り上げていた。
「……!?」
「なら剣の腕も、達者なのだろうなァ?」
振り下ろされた斧を受け止めたのは、ロニだった。斧を止め立っているのがやっとなのか彼の足は震えている。
「ロニ!!」
「カイルには、手を出させねェぞ……!」