「中に、入るのか?」
「そうだな、目的の物を見つけるには仕方ない」
「……なら、コイツを使った方がいい」
そう言って青年がリオンに差し出したボウルの中には、何かの液体が入った小瓶が大量に入っていた。
「コレは此処の植物で作った中和剤だ。此処のガスはまず喉をやられるから、喉を護る為に俺達が使っている」
「僕達がそれを信じる事が出来る根拠はあるのか?」
厳しい問いに青年は僅かに視線を落とすが、ハッキリと答える。
「俺がコレを飲んだら……」
「よくある話だが論外だ。予め解毒薬を飲んでいたり、瓶に細工してたりなんてあるからな」
返す言葉が見つからない青年は押し黙り、重い空気が場を包む。
だがそれを破ったのも、突然マスクを外し小瓶を手に取り中身を飲み干したリオンだった。
「……苦いな、良薬は口に苦しとはよく言ったものだ」
彼以外、ソーディアンも含めて皆茫然としている。だから少年は鼻で笑った。
prev next
bkm
[back]