リオンの呟きでスタンは気付く。先程までそこに居た者達は、口に布等を巻いてはいたもののそれ以外のガス対策は為されていない様に見えた。

 防毒マスクを着けていても喉に痛みが出る程にガスは強いが、彼等は非常に“普通”だと印象を受ける。


「そりゃ長い事住んでれば身体もある程度慣れてくるでしょ。でもよく此処に住めるわね……食材とかどうしてんのかしら」

「ふむ……畑はある様だが、見た事が無い植物」

「恐らくこの地に適応した植物なのでしょう、興味深いですわ」


 フィリアは早口で答えた。周りは少し嫌な予感がし、ルーティが確認する。


「あのさ、フィリア……大丈夫? 結構ここキツくない?」

「大丈夫ですよ? 私は科学者ですからこの程度何ともありませんよ」


 確かに顔色は悪くなく、明るい、寧ろ普段より明るい。だから怖い、クレメンテは少々引きつった笑いをマスター達に聞かせる。

 だが此処まで来たからには進むしかない。


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bkm

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