信用していないわけではないが、心配は拭い切れない。詠唱時間が短い術ではディムロスも止める暇が無い為、やはり絶対の安心は持てないのだ。

 しかし、今は更に大きな不安が傍にある。


「フィリア……一応、訊いておくが……薬物は持ってきていないだろうな……?」

「はい、ボトル等の薬品は持ってきていますが、薬物はありません」

「そうか……」


 始祖竜に乗る前からフィリアの様子に皆は違和感を感じていた。クレメンテ曰く、過去の失敗を思い出し気分が少し高ぶっているという話だが、スタン以外は嫌な予感が止まらない。

 ルーティがリオンに小声で話す。


「城に待機させてた方が良かったんじゃない……?」

「今更どうする事も出来ないだろう。それに科学に明るい者が居た方が良いだろうしな……そう考えると適任はフィリアだろう」

「そうだけどさ……」


 納得はしている、だが消えない不安は声になり発散される。

 一方フィリアは、ライフボトルを見つめ考えていた。


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bkm

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