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 リオンは静かに彼の話を聞いた。


「今思えば飛行竜で対峙した時、セシル様には迷いがあった様に思えました。本気だったならば今私は此処に居ないでしょう。私はセシル様と親しくしていただいたわけではありませんが、リオン様の立場を考えると自分の考えが正しい“筈”だと考えてしまいます。
 ……それをジョブスに話したら言われました、“軍人としては失格だが、人間としては正解”だと。ついでに“漸く他人の気持ちが分かるようになったか”とも笑われました。そしてアイツは“堅物がそこまで言うんだから間違いない、俺が信じるから自分の考えを信じろ”と……。
 だから私は軍人としてではなく、1人の人間として此処に居るのかもしれません。そんな私が指揮をとるなど不適切でしかありませんが、私は私が出来る事をしたいと思っています」


 上げた眼に宿る意思は強い。


「ジョブスに後押しされたのは癪ですが、与えられた役割を全うしてみせます。だからリオン様、絶対に生きてお戻りください」


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bkm

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