不意に自分を覆う影、見上げるとそこには見覚えのある大きなハンマー。


「マジかー……」


 詠唱時間を殆ど必要としないのはよく知っている、だが自分では実戦で使える程余裕は無い故にこの方法は思い付かなかった。

 十数秒後、俯せで倒れている彼を遠目で見つめリオンは溜息を吐く。


「何か違う……僕はそう思う……」

《現実なんてこんなモンですよ、坊っちゃん》


 その言葉に哀愁を感じるのは気のせいではないのだろう。

 リオンはシャルティエに歩み寄り、肩を揺する。彼はすぐに眼を覚まし、起き上がった。


「ぅう……自分が情けなさ過ぎて泣けてくる……」

「僕も複雑な気分だ……」

《やっぱり、自分自身のこういう姿見ると辛いですね……》


 妙な空気の中、リオンとシャルティエは座りソーディアンを含めて同時に溜息を漏らした。


「やっぱり僕は駄目だなァ……」

「やっぱりシャルティエなんだな……扱いが面倒に感じる」


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bkm

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