勝つ為に、相手は晶術主体での戦法を選ぶだろう。此方が勝つには必然的に詠唱時間でも劣る術は使えない。

 リオンは岩槍を避け、大きくシャルティエの周りを回る様にして走る。


「シャル、どうにか出来るか?」

《術発動のタイミングが早いですからね、一概に“はい”とは言えませんが……やってやりますよ》


 頼もしい言葉に彼は笑みを溢す。

 頭上から迫る岩槍を後ろに跳んで避け、その着地点に展開された陣から再び後ろに飛び重力場から逃れた。この連続した術攻撃中に隙が無かったわけではないが、シャルティエの剣の腕を考えると詰めた瞬間に返り討ちで敗北する可能性が孕んでいる。


《坊っちゃん、“僕”って結構マヌケなんですよ》

「何を今更」

《はい、今更なんですけどね……》


 失笑する剣は自分の考えをマスターに告げた。


「……仕方ないな」

《流石坊っちゃん、話が分かる方です》

「今更、手段を選り好みしてられるか」


prev next

bkm

[back]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -