受け取ったレンズをしまい、ルーティは礼を言う。
セシルはどういたしましてと、笑顔で返した。
「あ、アンタもグミ食べる? 8種類入ってるから選り取り見取りよ」
「いや……私、あんまりグミが好きじゃなくて」
「そう? 残ね……」
無意識に取り出したグミを口に入れルーティは黙り込む。もしかしたら苦いとされる味に当たったのかもしれない。
セシルは失笑し、天井を見上げた。
「それじゃリオンの所に行こうかな。私としては、もう少し愛想良くしてもらいたいものなんだけど」
「べつにいいんじゃない? 世の中色んな人間が居るんだし。
それに今更愛想良くされても此方が困っちゃうわ」
「そうかい? ……私は心配性なのかな……」
小声で呟きながらセシルは階段を上り去って行く。
悩む後ろ姿を見て、ルーティも呟いた。
「理解してくれる人間がすぐ近くに居るっていうのは、凄く幸せな事ね」
「ルーティ……、そうだな」
傍で話を聞いていたマリーが、大きく頷いた。
嬉しそうにルーティは笑う。
「リオン、潮風浴び過ぎてシャルティエが錆びても知らないよ」
「……嫌味か、それは」
甲板で一人佇む顔色の悪いリオンは、現れたセシルを横目で睨む。
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