彼女が吐く溜息は大きい。
「でも、近所に響き渡るくらいの連打ってかなり握力が居るわよねェ……アタシには絶対真似出来ないわ」
「真似する必要性も無いと思うがな」
「それもそうね、必要になるのはこのスカタンと結婚する女かしら。まあこんなのと結婚する様な奇特な女そう居ないでしょうけどねー」
確かにスタンが家庭を築くというのは少々――いやかなり想像し難い。同時にリオンは、姉の結婚についても似た事を考える。
話の矛先はソーディアンに向けられた。
「ところでアトワイト、ディムロスとはどうなのよ」
《あら、どうって?》
「決まってんじゃない、よろしくやってましたかって事よ」
ソーディアンと言えど元は実在した人間の人格。そしてディムロスとアトワイトが単なる上司と部下の関係ではない事は既に明白になっている。
食い付いたのは年頃のチェルシー。
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bkm
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