次に話し掛けたのは、子供向けの薬剤とされているフルーツ味のグミの袋を片手にマリーと話をしているルーティ。
「ルーティ、コレ君にあげるよ」
「へ?」
反射的にルーティは差し出された物を受け取り、自分の手の中にあるそれを見て驚いた。
「コレっ、スフィアレンズじゃない! 何でアタシに……!」
傷の無い、純粋な球体レンズをスフィアレンズと呼ぶ。
非常に高値で取引される物を何の躊躇いも無く渡され、流石にルーティも慌てた。
「この間拾ったんだけど、私には必要無くて。ルーティはレンズハンターだから、上手く使ってくれるかなと」
「そりゃ、上手く使うけど……スタンもつくづくだけど、アンタもかなりの変わり者よね。今のご時世、普通こんなの他人にポンと渡したりしないわよ」
「そう? どうせ一人暮らしだし、扶養する人も居ないし、給金だけで充分やっていけるから問題無いし。それにオベロン社に関わってはいるけど、レンズレート詳しくないからさ」
「……アンタって、よく分からないわ。コレは有り難く貰っておくけど」
prev next
bkm
[back]