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 だからディムロスは溜息を吐く。


《まったく……命賭けだというのを忘れているとしか思えんな》

《あら、私はこういうのも悪くないと思うわよ?》

《ギスギスキチキチで胃が痛くなるより良いよねェ》

《やれやれ、ほんに軍人に向いておらぬの》

《今更の事だ、誰だって得手不得手はある》


 ソーディアン達だって緊張していないと言えば嘘になる。だが感情というモノは伝染する、それは意思有る剣も同じ。

 一度負けたからこその、目標への高い志しは強い意思を生み出した。それは死ではなく、生きて勝つ為の強固な意思。


「そろそろ出発するぞ、さっさと終わらせてやる」

「ああ、やるぞ!」


 スタンの言葉は何時だって場を良い方に転がす。底抜けの明るさが羨ましいとリオンは思いながら、ドライデンに敬礼をした。


「それでは、後程」

「ああ」


 返された短い言葉に改めて生への執着を誓い、彼は竜の中へと足を踏み入れた。


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bkm

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