「マリアン、それ作れる?」
「ええ、材料も手順も難しくないから大丈夫よ」
「じゃあ……それが食べたいな」
「分かったわ、全部終わったら沢山作って皆で食べましょう」
小さいが決して軽くない約束。“皆”で、そう堅く誓う。
「そろそろ行くよ、先ずは下準備をさっさと終わらせるから」
「フフッ、気をつけて行ってらっしゃい」
「うん……マリアンも」
「もちろんよ」
笑顔を交わし、リオンは訓練場へと向かう。次に顔を合わせる時は研究所から帰って来た時だと、振り返らずに進む。
《坊っちゃん、グーですよ》
「何がだ」
《色々、ですかね》
「……意味が分からん」
少しだけ心が軽くなった様な、そんな気分を覚えながら少年は歩く。
改めて訪れた訓練場は前回とは打って変わって静かで、そして重々しい雰囲気に包まれていた。まだ搭乗者全員は集まっていない様だが、恐らく準備は整っているのだろう。
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