彼女の事を何も知らないから、こんな事しか出来ない。

 しかしマリアンは微笑んだ。


「彼女、よく雲の形とか空の向こうとか話していたものね。私も、貴方の意見を推すわ」

「……ありがとう」

「どういたしまして」

「うん……」


 挨拶に来たのに、どうして慰められているのだろう。

 それはきっと自分が弱いから、だがもうそれで彼は焦ったりしない。


「マリアン、僕は絶対に、天上王を倒してみせる。アイツ等となら、絶対出来ると思う」

「ええ……私も、貴方達を信じているわ」


 その言葉にどれだけ大きな力が込められているか、不思議なモノだと少年は思う。


「全部終わったら、沢山甘い物を作るわね」

「うん」

「あ、そうそう……お屋敷の荷物を整理してたらお菓子のレシピを見つけたの。ちょっと古い物だったんだけど、“プリン”って名前だったかしら」

「……!」


 聞いた事――見た事がある単語。


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bkm

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