「リオン様……」
「…………」
2人は他に人が居ない敷地内の外れに移動した。
「ドライデン様から大筋は聞いたわ」
「そうか……」
「……だからね、コレを渡しておくわ」
マリアンが差し出したのは、以前彼女から貰ったネックレスに似たデザインのブレスレット。慌てて首元を確かめると、常に付けていて無意識下にあったネックレスが無い事に気付く。
「貴方が城に運ばれてくる途中で切れたみたいで、知り合い頼んでブレスレットに直してもらったの」
「…………」
ブレスレットを受け止ったリオンは、暫くそれを見つめた。脳裏を掠めるのは、彼女が身に付けていたネックレスと指輪。
何故最期までそれを身に付けていたのだろうか、何故“思い出の品”と呼べるモノをちゃんと保管していたのだろうか。何故、まるで未来が分かっていたかの様に“秘密”を託したのだろうか。
「……マリアン」
「何?」
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bkm
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