剣の言葉で気付く、この状況下で自分は1番幸せなのだと。

 命を賭けた試練、ソーディアンマスターは一度故郷へと戻りたいことだろう。だが手探り状態の今、猶予は無いと言ってもいいのだ、戻る事は叶わない。

 しかし少年の故郷はこの街、全てはこの場所にある。

 死ぬつもりは無いが、それは可能性の問題だ。


「……行くか」

《はい》


 聞いて回るとマリアンは中庭で休憩に入った兵に食事を出しているらしい。

 中庭に行くとそこには聞いた通り防衛線から戻って来た兵達と、彼等に傷の手当てや食事を提供する城に仕える使用人達が居た。その中に彼女の姿を見つけたが、忙しそうな姿に声を掛けるのを躊躇ってしまう。

 すると今中庭にやって来た女性がマリアンに声を掛けた。


「マリアンさんっ、交代しますから休憩入って大丈夫ですよ」

「ありがとう、そうさせてもらうわ」


 着けていたエプロンを外し歩き出したマリアンはリオンに気付く。リオンも自分に気付いたマリアンに気付いた。


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bkm

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