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 壁に映された映像は、2人のやり取りを伝える。


『今は耐える時だ、ダイクロフトが完全に復活すればその苦しみからも解放されるだろう』

『……はい』

『お前はよくやった……やはり信用出来るのはお前だけだな』


 見下ろすミクトランは微笑を浮かべ、大きく胸を上下させる彼女の髪に触れた。


『ヒューゴの身体で触れる事を躊躇う程にお前は素晴らしい。お前が私の下に居る事を感謝しなければならないな』


 笑う男は手を離し、告げる。


『時が来るまで休むといい、お前には最後の大仕事が残されているからな』

『……はい……』


 返事を返すとミクトランは去った。そして彼女は眼を閉じ、どうやら眠ったようだ。


『…………リ……オ……』


 寝言なのか、彼女は呟く。


『エミ……リオ……』


 目尻から細い涙を流し、その名を確かに口にした。

 静かな部屋の中で、誰にも届く事の無い声。

 映像はそこで消え、レンズにヒビが走る。


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bkm

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