11

 暫く歩いて彼等は彼女が住んでいた家の前に到着した。周りには誰も居らず、リオンはドライデンから預かった屋敷の鍵の束にあるこの家の鍵を出し玄関を開ける。

 屋敷同様家主の居ないその家は、何とも言えない沈黙に包まれている。


「…………」


 殆ど物が無い家の中、誰も口を開かない。

 改めてこの場所を眼にして彼等が思うのは、生活感が無いというよりそもそも“生活”というモノをしていないのではないかという印象。


「ベッドの下にセシル、アレを置いていたんだよな……」


 スタンが言う“アレ”は今、城でリオンが借りている客室にある。

 どんな想いで保管し、どんな苦しみで暗号を伝えたのか、彼等にはやはり分からない。

 “秘密”、それは彼女にとってどの様なモノだったのだろうか。


「……全て終わったら、この家もどうにかしないとな……」


 あの男の持ち物、その後始末にこの家は含まれる。


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bkm

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