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 当然だが街に活気は無い。空は外郭に覆われた事により陽の光は遮られ、闇に包まれた今の世界に笑顔は無いに等しいだろう。

 ヒトの姿も非常に少なく、居ても自暴自棄になっているのか小さな声で何やら呟いている者も居る。正に絶望、それ以上の表現は存在しない。


「世界中の都市がこんな状態なのかしらね……太陽って有難いのね、ホント」

《太陽と月が登るのが当たり前だものね。千年前は粉塵という自然災害が原因だったけれど、あの外郭は紛れもなく人災……千年前とは違う種類の絶望ね》

「……思ったけど、アトワイトって凄い肝が座ってるわよね」

《地獄の様な日々を生きていたら、これくらい当たり前よ……と言いたいけど、やっぱりそうでもないのよ。怖い時は怖いし、辛い時は辛いわ、それを軍人として隠しているだけ》


 確かにソーディアン達は一部を除き軍人的思考が目立つ。しかしやはり人間としての言葉もあり、剣である事を忘れてしまう。


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bkm

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