それを聞いてスタンが提案した。
「なあ、セシルの家に行ってみないか?」
「え? ……大丈夫なの?」
ルーティがリオンに問うと、彼は暫く床に視線を落とし考え込んだ後に顔を上げた。
「大丈夫だろう、恐らく殆ど何も無いだろうが……」
「確かに、前に行った時は生活感の無さが半端なかったわね。それにあっても、軍が持ってってるか」
「でもさ、一応セシルが住んでた場所だから……」
言いたい事は他の者達に通じている。彼の中で彼女は、ずっと変わらず大事な仲間なのだろう。
そして姉弟が彼女に対してどんな想いを抱いているのか、きっと彼は理解している。
「なら……行くか、他にする事も無いからな」
「そうねェ、病み上がりも居るから修行とかは無理だしね」
からかいか気遣いかは分からないルーティの言葉だが、リオンは敢えて何も言わずに歩き出す。2人も続き、屋敷は再び沈黙の世界となった。
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bkm
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