代わりに腕を組んだスタンが口を開く。
「何か……セシルが生きてるみたいな言い方だったよな」
《あの状況下で生きているとは思えん、が……神の眼を手中に収めたミクトランならば或いは……》
「そう考えるとセシルについて全然触れてこなかったどころか、……ヒューゴに“彼女”って言われた時黙らせた様な感じにしたのも納得出来るわね」
《ミクトランにとって彼女は特別な存在だとしたら……更に納得ね》
2人と2本の話を否定する材料は全く無い。
シャルティエがマスターに声を掛ける。
《坊っちゃんは、どう思ってるんですか……?》
「……ミクトランを倒す事が最優先だとは分かっている。敵になる可能性があるのも分かってはいるが……それでも彼女が何故ミクトランと共に居るのか……そもそもヒューゴがミクトランだと知っていたのか知りたい。……僕は結局、彼女の事を何も知らないからな……」
本当に全てが嘘だったのかと現実から眼を逸らす己と決別する為に、少年はそう告げた。
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bkm
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