心の中に何かが収まった様な、不思議な気分を姉弟は抱く。決して悪いモノではない、寧ろ今まで望んでいた様な温かいモノ。
「しっかし、とんだバカップルね……此方が恥ずかしくなるわ」
「…………」
ルーティの言葉にリオンは頷く事はしないが、同意なのか溜息を吐いている。スタンは、嬉しそうに笑っていた。
「やっぱりさ、良いな家族って」
両親を亡くしている青年はそう言った。姉弟は肯定もせず否定もせず、やはり溜息を吐く。
予想外の穏やか時間だったが、少年は日記を置き軽く咳払いをした後に問う。
「ベルクラントで……ヒューゴが言っていた事を覚えているか?」
「……“彼女を救ってくれ”……てヤツ?」
ルーティが質問を返すと、リオンは小さく頷いた。
「“彼女”というのは……誰を指しているんだろうな」
「……分かってる事、わざわざ訊く?」
「…………」
彼は口を閉ざし、愛剣に手を置く。
prev next
bkm
[back]