この言葉が偽りであってほしいと、何かが願う。
その理由すら分からないが。
「だから安心して、マリアンの眼の届かない所では、私が全力を尽くすから」
「――ありがとう、貴女も自分を大事にしてね?」
「ああ……。じゃあ、そろそろ行くよ」
「そうね、足止めしてごめんなさい」
深々と頭を下げた後、リオンに向けたモノと同じ笑顔をマリアンは送った。
「行ってらっしゃい、皆さんと仲良くね」
「ん、行って来ます」
笑顔に対して笑顔を返し、セシルは早足で玄関に向かう。
屋敷を出ると、皆は庭で出発前の談笑をしていた。
「すまないリオン、遅くなって」
「ああ……マリアンと話していたのか……?」
「少しね、国外の任務だからちょっと話し込んでしまって……」
苦笑しながら理由を話すと、リオンは潜めていた声を更に潜めセシルに問う。
「その……マリアン、何か言っていたか……?」
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bkm
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