心の内を見透かされた彼女は、素直に頷き認めた。
そして話す。
「誰が何を言おうと、彼は未だ子供だもの……。本当なら友達と一緒に勉強したり、遊んだりしている筈なのに――」
「大人に……一人の男になろうと必死過ぎて、自分を殺しているんだよね……正直見ていて苦しいよ私も」
そう、無意識にセシルは自分の気持ちを伝えた。
それが真なのか嘘なのか、彼女自身にも分からない。
「本当は、名前を戻して年相応の生活をしてほしいのだけれど……」
「彼は決してうんとは言わないだろうね。彼が決めた事は、誰も止められない」
それは本当にあの少年の事なのだろうか。
心の何処かで、何かが自分に疑問をぶつける。
「セシル、改めてお願いするわ……エミリオの事を助けてあげて……。私は、政治や軍の事に口を挟む事は出来ないから……」
「分かっているよ、その為に私は彼と同じ道を行くんだ。ヒューゴ様がどうとかじゃない、私が彼を護りたいんだ」
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bkm
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