「謝るならば、若者に責任を押し付ける事をした我々の方だ。奴について、もっと慎重になるべきだった……今更、何を言っても遅いがな」
自嘲気味に笑うドライデンだったが、すぐにそれを止め話を続けた。
「レイノルズは大怪我をしていたが、何とか戻って来た。ただ……ラディスロウは天上側の奇襲で陥落したそうだ」
「…………」
要とも言えるラディスロウが落ちたのなら、何も手段は無いのだろうか。天上王の言葉通り、“彼”の行動すらも無意味とするしかないのだろうか。
何にもぶつけられない憤り、きっと他のソーディアンマスターも同じだろう。
溜息を吐いた少年に、将軍は告げた。
「しかしな、レイノルズが譫言の様に言っていたのだ……“我々はまだ負けていない”とな」
「……?」
この状況が負けではないというのは一体どういう事だろうか。単なる譫言に過ぎないのか、それとも別の真意があるのか。
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