俯くと、少女は軽く笑った。
「フフッ、変なの」
「へ、変か?」
「うん、ちょっとだけ、ね」
笑う彼女、それを少年は何時までも見ていたいと思った。その為には、彼女に相応しい男にならなければならないだろう。
父よりも強く、自分よりも強い少女を何からも護れる様に。
「セシル、もう1度付き合ってくれないか?」
「んー……分かった、怪我しないでね」
「当たり前だ」
きっと何時か、そう考え続けていたのが間違いだというのだろうか。
「……く、……う……」
眼を覚まし身体を起こそうとしたが、激痛が走り叶わない。
見上げる天井はよく知っている。何度目だと、自分を嘲笑う。
《坊っちゃん……》
「……何だ」
愛剣の声は沈んでいる。流石の彼でも、この状況で冗談なんて言えるわけがない。
重い沈黙、窓の外は暗い。きっと時間の関係ではないと、状況を理解する頭がそう考える。
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bkm
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