「ごめん、エミリオ……」
少女は少年に謝罪しながら包帯を巻く。少年は首を横に振った。
「べつに、大丈夫だから……僕が未熟なだけだから」
「…………」
俯く少女、少年は何とか元気になってもらおうと考える。
「僕、男だから、1つや2つ怪我しても問題無い。セシルは、怪我とかしてないか?」
「え……? だ、大丈夫」
「なら良かった」
笑うと、少女は少し呆気に取られた様な顔をし、それから微笑んだ。
包帯が巻き終わり、少年は傍に置いていた模造剣を手にする。
「早くフィンレイ様のような強い男になりたいな……」
「エミリオは、強くなりたいの?」
「うん、弱いと何も出来ないから」
「何も……」
少女はふと考え込む、まるで此処では無い何処かを見ているかの様にして。
「……セシル?」
「ん……何?」
「その……いや、何でもない……」
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