マリアンの方に向き直ると、彼女はゆっくり一度頷き言った。
「気をつけて、無事に帰って来てね」
「ああ。……セシル、何故入って来ないんだ?」
何時もだったらノック無しでも入って来る彼女が、入って来ない。
疑問に思っていると、セシルは苦笑しながら入って来た。
「いやァ、二人の時間を邪魔しちゃ悪いかなと思ってさ」
「なっ……何を馬鹿な事を……!」
「フフッ、気を使ってくれたのね」
マリアンも笑い始めると、リオンはバツの悪そうな顔をする。
だがそれでも、しっかり眼を見て口を開いた。
「――行ってきます」
「はい、行ってらっしゃい」
笑顔の言葉を受けた彼は、軽く頷いてから部屋を後にする。
セシルも船に向かう為に挨拶をしようとした時、マリアンが先に言葉を発した。
「あの子……大丈夫かしら……」
「マリアン……、本当は行かせたくないんだね?」
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bkm
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