父は、偽りの無い言葉を告げる。
《母さんにも、償え切れない程の哀しみを、与えてしまった……ルーティを逃してくれた事は、流石クリスだと、思ったモノだが……エミリオの事はきっと、守れずに逝く事を悔やんで、いただろう。私が、彼女を死なせてしまったモノだ……。
これだけは、分かってほしい……私も、クリスも、お前達を愛していた。手放してしまったルーティも、ミクトランが干渉していとはいえエミリオも、クリスが名付けたお前達姉弟は確かに私達の大事な子供だ、誰にも覆せない真実だ。
なのに親として接してやれなくて、すまない……だが、産まれてきてくれた事に感謝しきれない。産まれてきてくれて、ありがとう、ルーティ、エミリオ》
「くだらん事を、吐くでないわ……!」
干渉が強いのか、ミクトランの身体に自由は無い。
娘が歯を食い縛り呼んだ。
「お父、さん……!」
息子も何とか瀕死に近い身体を起こす。
「父さん……!」
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bkm
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