この揺れが何を意味するのか、分からない者は居ないだろう。天上王は天上の復活を笑い、若者達は絶望の表情を見せる。
「残念だったな、お前達がやってきた事は全て無意味だったという事だ。しかしお前達は良い役者だった……だから1人ずつ、この天上世界の散りにしてやろう」
そう、冷血としか言えない言葉と共に足を向けた先は血溜まりの中に居る姉弟だった。
「アンタには……人の、心ってモンが、無いようね……」
少年を庇う様にしてルーティは、膝をついたままアトワイトの切っ先を向ける。せめてもの抵抗だった。
案の定男は鼻で笑う。
「フン、小娘が……ならば望み通り、貴様から親の下に送ってやろう、すぐに弟も追わせてやる」
ベルセリオスの切っ先が彼女を狙う。皆は立ち上がろうとするが、その力は既に無い。
ボヤける景色の中で、少年は訴えた。
「よ、せ……やめろ……!」
それが無意味だとは理解している、現に天上王はソーディアンを振り上げている。“帰る場所”がある彼女を狙っている。
なのに自分はまた見ている事しか出来ないと、彼は己を憎んだ。
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