静かに入って来たのは、マリアン。
彼女はリオンの前にお茶を置き、話を切り出した。
「エミリオ……、大丈夫……?」
「……大丈夫だ、マリアンが心配する事は無い」
しっかりと目の前の女性を見つめ、リオンは答える。
だがマリアンの表情は、更に曇った。
「でも貴方辛そうだわ……ヒューゴ様の事、そんなに目の敵にしなくても……」
「――っ、アイツの話はしないでくれ!」
立ち上がり、声を荒げた直後彼は我に返る。
申し訳なさそうに俯いていると、マリアンは優しく諭した。
「エミリオ、その言い方はあまり良く無いわ……貴方の気持ちは分かるけど……」
「……ごめん、マリアン」
素直に謝罪すると彼女は微笑んだ。
それを見たリオンが安堵すると、ドアがノックされた。
『リオン、船の準備が出来たよ。皆外で待ってる』
「あ……分かった、すぐに行く」
自分を呼びに来たセシルの声に気を取り直し、彼は答える。
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bkm
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