「よし……後はバリアを破るだけですわ、落ちないようにしてくださいね」


 そうだ、それがあったと顔には出さずに皆が思う。

 覚悟をしてないわけではないが、かなりのスピードで飛ぶ物の上で立つのは少なからず恐怖心を抱くだろう。レイノルズを信用していないわけではないが、人の心から恐怖を完全に捨て去る事は出来ない。


「しかしホントにさ、レンズって凄いんだな……」


 改めて思った事をスタンが呟く。


「ま、だからこそ悪用されるんだけどね。世界征服が出来るくらいの力の前じゃ、正常な思考回路じゃなくなるのも無理ないわよ」


 ルーティのその言葉はかつての天上人を指しているのか、それとも今を指しているのだろうか。それはリオンには分からなかったが、皮肉だという事は理解していた。

 地上を壊滅させたモノが希望となり、それは他ならぬ人間の手で絶望となり、今また希望と絶望を指し示している。常に表裏一体で、時は進んでいく。


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bkm

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