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 少年が眼を見開く。


『恐らく、エミリオ様の眼を彼から遠ざける役目もあったのでございましょう。彼女は普通の少女を演じ、エミリオ様の傍にあり続けました。彼女が一体何者で、彼が何処から連れてきたのか、私が知る事はありませんでした。唯一分かったのは、彼女が彼に対し忠誠を誓う以上のモノを抱いている、それだけで御座います。
 ですが時が経つに連れ彼女に変化が訪れました。表面上は何時も通りなのですが、エミリオ様……そしてフィンレイ様に対して見せる感情が偽りのモノではなくなっていったのです。
 それを彼は気付かぬまま計画は進んでいき、計画に気付いたフィンレイ様が暗殺された夜、彼女は1人で泣き続けておりました。演じる必要の無い1人きりの状況で、何度も誰かに謝っていたのです。
 それからで御座いました、彼女に迷いが見え隠れし始めたのは。彼女自身はもしかしたら気付いていなかったかもしれませんが』


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bkm

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