12

 彼の口から語られるのは、真実に違いない。だから信じるしかない、そう、分かってはいる。


『その頃から彼女は弱っていった、心労が祟ったのかもしれません。そんな時に身籠り、産まれたのがエミリオ様……そしてすぐに亡くなられた……私は分かっていながら、彼女を見殺しにしたのです』


 彼は、一体どんな心境で話しているのだろう。


『彼女は非常に短い時を、産まれた子を愛する事に使いました。味方が居ない中で、間違いなく愛した彼との子を愛した。きっと片隅ではずっとルーティ様の身を案じていたことでしょう。
 しかし彼女の愛情は届く事は無く、彼女が亡くなったことで彼の枷は完全に無くなったということなのか、恐ろしい早さで世界中に自分の力を示し始めました。レンズの加工という誰にも出来なかった技術を掲げ国に取り入り、軍事情報を元に勢力を広げていった。
 そんな折、彼はセシルを連れてきました。感情の無い眼をした彼女をエミリオ様の監視に着けると』


prev next

bkm

[back]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -