「何という事だ……」


 リオンとセシルの報告を聞いた国王は立つ力を無くし、玉座に腰を降ろす。

 謁見の間には国王とセシル達の他に将軍ドライデン、そしてヒューゴの姿があった。


「陛下、これより我々はグレバムが向かったらしいカルバレイスに向かいます」

「うむ……」


 リオンの報告に対し、落胆する国王の返事に生気は無い。

 そこに進言したのはやはり、ヒューゴ。


「陛下、我が社の船にて向かわせましょう。
 カルバレイスという土地柄、他国の船が近づくのは良い顔をしませんでしょう。港町のチェリクには我が社の支部があります故」

「うむ……、ではヒューゴに任せよう。
 リオン、セシル、船の準備が出来次第カルバレイスへ向かうのだ」

「はっ……!」


 勅命を受託した二人は、王に向かい頭を下げる。

 今回ドライデンは何も言わず、固く口を閉ざしていた。

 そしてセシルは、リオンが憤りに似た感情を必死に隠している事に気づく。



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