「しかし何の因果なんだろうね……ソーディアン・ディムロスを回収した筈の飛行竜は消息不明だし……その直後にコレか……エミリオ、大丈夫かい?」
「心配は無用だ……向こうはレンズハンターを名乗る徒の盗掘者、罪人には法の裁きを受けてもらうだけだ」
《坊っちゃん……》
「君は相変わらず嘘が下手だね……シャルティエに心配されるようじゃ先が思いやられるよ」
《何気に酷い!》
私の言葉に狼狽える剣に、彼は笑った。客員剣士という肩書きの似合わない子供の笑み。
「エミリオ、私も連れて行ってくれるんだろう?」
「ああ、ソーディアンが相手とあっては、万全を期す必要があるからな、お前の力が必要だ」
「そうか、君を助けられるよう尽くすよ」
「……ああ……セシル」
「何だい?」
小さな身体が私を見上げつつ視線を逸らし、彼は言う。
「……ありがとう」
「どういたしまして」
ああ、空が青い。