「アトワイト、何で黙ってたのよ」
《何の事かしら》
「神の眼の事に決まってるじゃない」
ダリルシェイドへの道中、ルーティはアトワイトに溜息をついた。
「何で神の眼が巨大レンズって言わなかったのよ、レンズハンターであるアタシに」
《言ったところでどうにもならないでしょう? 換金出来るわけでもないのだから》
「そ、それはそうだけど……モチベーションっていうかさ……」
《困った子ね》
笑うアトワイトと納得いかないルーティの話を聞いていたセシルは、彼女達に気付かれない様に苦笑する。
「筋金入りのレンズハンターだね、彼女は」
「くだらん、ただの盗掘者だろう」
《でもやる気を出してくれたのだから良いじゃないですか?》
「……知るか」
素っ気ない態度を取り少年は足を速めた。
ダリルシェイドの視線を前方に向けると城が見え、セシルは一人、自分の唇を噛んだ。
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bkm
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