リオンは、壁に背を預け座るスタンの隣で、同じく背中を壁に預け立っていた。2人は何も言わずに、ただそこに居る。

 他の皆はスタンの代わりにカプセルを持ち、奥の施設でイクティノスの修復を始めていた。


「…………」

「…………」


 静か、それだけ。

 リオンは、イレーヌが彼女と重なり胸が締め付けられていた。


「……リオン」

「……何だ」


 漸く口を開いたスタンが訊く。


「……バルックさんやイレーヌさんの事、世間にはどう話すんだ……?」

「……ヒューゴが黒幕だというのを知るのはセインガルド国王を含めた少数だ。オベロン社の社員の中には勘づいている者も居るかもしれんが……オベロン社が世界中に展開している以上、混乱を招く事を避ける為にはおいそれと真実は流せない。レンズルートもオベロン社が確立したからな……どうするかは、まだ考えは纏まっていないが……」


 ヒューゴの息子はそう答える。



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