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 笑う彼女の表情は優しい、彼女に一番似合う表情。

 マスター達は障壁を破る為に術攻撃を開始した、嫌な予感がしたからだ。しかし障壁は破壊した傍から再生されていく、主の意思を具現する様に。


「私……心の何処かで皆を見下してたわ……自分の事しか考えられない、心の貧しい人達って……私、その立場になって寄り添う事すらしなかった……自分の理想にいい気になって、自分の意見を押し付けてた」


 哀しい笑顔は語り、彼女の足元に何時の間にか血溜まりが出来る。

 レイノルズとディムロスが気付いた。


『おかしい、コレは……!』

《体内の晶力が彼女を食い漁っている……! コレは、どういう事だ……!》

「……! イレーヌさん!!」


 叫ぶスタンに彼女は笑顔を送り続ける。

 そして、彼女の背後の壁が開いた。


「私、皆が大好きよ……ゴメンね」


 壁の向こうは未完成の大地。


「壊れてまた君達の敵になる前に……人間としての感情を持ったまま、私はこの結末を選ぶわ。ノイシュタットはきっと……私が居なくても大丈夫よ、皆同じ人間だもの」

 最後の笑顔、間違いなく彼女の笑顔だった。


「ありがとう……バイバイ、皆」


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bkm

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