22

 まだ空気が震える中、イレーヌは変わらない立ち位置で座り込んでいた。身体が動かないのか、放心状態なのかは分からないが、障壁は消滅しており、マスター達の勝利と見て間違いないだろう。


「イレーヌさん……!」


 駆け寄るスタンだったが、すぐに妨害する様にして氷柱が生えた。

 まだ戦意があるのかと皆は身構えるが、立ち上がったイレーヌの眼にその力は無い。


「負けちゃった……私がやる事、全部、中途半端だね……」


 少しずつ彼等と距離を取る様にして後ろに彼女は下がっていく。それをスタン等は追おうとするが、再び――しかも範囲を広く、幾重も――障壁が張られ、彼等を阻む。


「君達の言う通りだよね……結局ね、私も私が一番大事なの……そんな女が、人々を纏められるわけないよね……」

「違います! イレーヌさんが皆を救おうとする志しを、知っている人は沢山居ます!」

「そうかな……? フフッ、君が言うなら本当なのかもね……」


prev next

bkm

[back]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -