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 地を這う衝撃波が彼女を襲う。すかさずスタンは翔び、炎の鳥を象った突進を浴びせた。

 イレーヌは頭を抱え、悲痛の叫びを上げる。


「どうしてよ……どうして皆、私を責めるの! 私は皆の為に頑張っただけなのに!! 何で! どうしてなのよ!!」


 報われない事への憤り、奥底に眠っていたであろう事が声になる。そして呼応する様に前衛の2人を狙い、何十ものの光の槍が放たれた。

 それは速く、リオンでさえ避けるのがやっと。だが全ての攻撃は2人に向けられていた。


「いきます!」


 詠唱と共に力を持った晶力の具現化が進み、フィリアはクレメンテ掲げる。


「インディグネイション!!」


 空気中に雷が走り、イレーヌの頭上に晶力は集まり、一気に落ちた。障壁との反発は起きるが間もなくそれは破られる。豪雷の音が響き渡り、術光が皆の視界を奪う。

 終息の時は、それほど遅くはなかった。


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bkm

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