事件に巻き込まれたフィリアを気遣ってか、スタン等はなるべく明るい話題を上げ二人の客員剣士の後ろを歩く。
時折セシルはその様子を確認しつつ、リオンに声を掛けた。
「彼女は根が強い人なんだね……自分の過ちを、自分で認める事が出来るのだから」
「フン……楽になりたいだけだろう。此方としては好都合だが」
「また君は……。君には、贖罪したい事は無いのかい?」
「そんなモノ……僕には、無い」
顔を背ける少年に苦笑し、彼女は控え目の声で教える。
「私はあるけれどね、贖罪したい事が」
「え……?」
彼女の告白に小さな声を上げる。
横目で見上げると、笑っていた。
「この間、うっかり君のおやつを食べてしまったからね」
「あ……アレはお前だったのか……!」
「小腹が空いてつい、ね……今度何か買ってくるから許しておくれよ」
「――仕方ないな」
溜息混じりに少年は頷く。
「恩に着るよ、リオン」
罪は、私の。
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bkm
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