ディムロスが炎を纏い、スタンが氷柱に突進する。氷柱は砕けイレーヌへの道が開き、リオンが青年を抜きシャルティエを構えた。
「シャル!」
《OKです、坊っちゃん!》
刃に晶力を込め、切っ先を障壁にぶつけた。反発が発生しリオンの身体は弾かれそうになったが、彼は踏ん張り攻撃を続ける。
「どうして私の邪魔をするの!」
「お前が、僕達の敵だからだ!」
至極単純で、分かりやすい今の関係。
収束する力が発生したのを感じたシャルティエがマスターを退かせた直後、イレーヌの周りで爆発が起きた。後方への術攻撃は際限無く続けられている。
「イレーヌさん! こんな事したって誰も幸せになれませんよ!」
炎の剣をぶつけ彼は叫ぶ。届かないとは分かっていても、自分にはそれしか出来ないと思ったからだ。
「幸せじゃないイレーヌさんが、誰を幸せに出来るんですか!」
「……! 何かを成すには、何時だって犠牲は必要なのよ!」
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bkm
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