「俺は、立場がある人の大変さとか分からないけどさ……! 大好きな人や物の為にこんな事するのは間違ってることくらい分かる! 人を、自分を信じられなくなったら、何も出来ない!」
何故この男はここまで真っ直ぐなのか、リオンは今更ながら不思議に思った。やはり暮らした環境か、それとも素質だろうか。世間知らずのくせに、その言葉は何時だって人を動かす。
だから、ディムロスのパートナーとなったのだろうか。
「……お前の意見なんざ知らん、今やるべき彼女の撃破、それだけだ」
シャルティエを構え彼は告げる。目の前の女が、脳裏に焼き付いている光景と重なった。
「イレーヌの力は確かに厄介だ、だが……」
フィリアを機動力の高いルーティと視野の広いウッドロウに任せ、少年は身体を前に傾ける。
「彼女よりは弱い……!」
2人は走り出し、目の前の女に挑んだ。
「来ないで……!」
地面を這う様にして拒絶の氷柱が彼等を狙う。
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bkm
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