「……オン……リオン」
「んっ……」
眼を覚ました少年の目の前にはスタンが居た。
「大丈夫か?」
「……ああ、問題無い」
大分眠っていたのか、身体にダルさが感じられる。ゆっくり立ち上がり、モニターを見た。
「……そろそろ着くみたいだな」
「うん……」
スタンの表情は優れない、やはりまだ迷いが残っているのだろう。それが彼らしいといえば彼らしい、誉められる事かどうかは評価する人物次第。
ルーティは、何やら苛立っている様子。
「シャル……あの女どうしたんだ……」
《イレーヌの事が気に入らないみたいで……前々からそうだったけど、今回の事で更に……》
「なるほど……あの手の女は嫌いだろうな……」
立場の違いだろう、上に立ち地位で纏め上げようとする女と、地に這いあらゆる手段で家族を護る女。互いを理解するには、立場の距離が遠過ぎる。
夢か現実か、それだけで全てが違ってくる。
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bkm
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