『人が変わるにはね、大きな力が必要なの……。覚えてる? ノイシュタットがモンスターに襲われた時、皆の考えが1つになった……中には身勝手な人も居たけれど、私はそれがとても嬉しかった』
言葉通り彼女の声は明るいが、何とも言い難い暗いモノが見え隠れしている。
『でも、皆すぐに元に戻ってしまったわ……どうしてか分かる? 貧富の差を超えた、共通する大きな障害が無くなったからよ……日常に戻ったら、皆の意識も元に戻ってしまった……コレじゃ全然、意味が無いのよ。
やっぱり人間は強大な力の支配下になければ好き勝手にやるだけ……支配の下で、言われた通りにしていれば、争いなんて起きないでしょう?』
この声は本当に彼女なのだろうか。全く温もりの無い、ただただ冷たい声はマスター達に悪寒を覚えさせる。
『勿論、君達の事もヒューゴ様に頼むわ。ノイシュタットを救ってくれた君達が、地に伏せっている姿は見たくないもの……』
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bkm
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