スタンの呟きが聞こえたのか、ふとフィリアは顔を上げ言った。
「あの……石にされる途中だったので記憶が曖昧なのですが……、グレバム様は確か、カルバレイスに向かうと……」
「カルバレイスだと……?」
訝しげなリオンに、フィリアの記憶の信憑性を高める為アイルツが告げる。
「カルバレイスには我が神団の神殿があります。もしかしたら彼はそこに……」
「なるほど、神団関係者が神殿に出入りしても何の違和感も無いしね」
司教の話にルーティは納得し、再び祭壇に向き直った。
「――分かった、陛下への報告が終わり次第カルバレイスに向かう。女、お前は僕達と共に来い」
「リオン!?」
突然切り出されたリオンの話に、真っ先に反応したスタンに続き声を上げたのはアイルツ。
「お待ちください! フィリアは――」
「グレバムと神の眼を知り、その上当事者なのはその女だけだ。司教殿は立場上、神殿を空けるにはいかないだろう」
「しかし……!」
prev next
bkm
[back]