ディムロスの言葉を聞いたスタンはその話題を話すのを止めた。だが心の中では、家族を失う事への恐怖を思い出していた。
フィリアについてはもう誰も触れない、薬品が何処からか出ているのかも指摘なんてしない。
「でさ、結局のトコ地上人の天上人の違いってあんの?」
ルーティが言う、バルックの思想を目の前にして抱いた疑問なのだろう。
答えたのはアトワイト。
《彼等だって元々は地上に住んでいたのだから、違いがあるとしたらやっぱり意識の持ち方だけね。人間、一度覚えた快感からはなかなか抜け出せないものよ》
「その筆頭がミクトラン……今はヒューゴ……戦争なんてそんなモンよね」
客観的に彼女は言う。客観的にならなければ、彼女は押し潰されそうになってしまうからだ。
そしてそれは、彼にも同じ事が言える。
「世界に喧嘩を売った愚か者の行き先は地獄、ミクトランとやらと同じ道を辿ってもらうだけだ……」
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bkm
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